過払い金請求| 大阪の弁護士が作成したアイフルに対する準備書面 本文へジャンプ
アイフル答弁書に対する準備書面2
第2 悪意の受益者でないことから返還すべき範囲は、経済的合理性の観点から55パーセントであることの成否


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第2 「第2.悪意の受益者ではないことから返還すべき範囲は,経済的合理性の観点(現存利益)より過払元金の55%に留まることについて」
1 原告の認否及び反論
(1) 否認及び争う。
(2) 原告は,この部分についての主張について,既に,原告第1準備書面で行ったところである。
それにもかかわらず,被告は,答弁書での主張とほぼ同内容の主張を繰り返すのみであり,何ら,原告の主張の反論となっていない。
参考までに,原告が原告第1準備書面で行った主張を繰り返す。
(3) 被告は,利息制限法超過利息の受領による不当利得の取得に対して法人税を納付したことにより,現存利益が減少したことを理由としている。
(4) しかしながら,被告は,利息制限法超過利息の受領による不当利得の取得に対して法人税を納付したのであれば,かかる不当利得の返還により,利益(益金)が減少したのであれば,それに応じて,更正決定を受けて払い過ぎた法人税の還付を受ければ良いのである。かかる議論を被告は見落としており,理由がない。
(5) そして,被告は,過払金の返還による損失の生ずる予測に対して,引当金を設定することができる。
(6) ところで,引当金とは,「実際には未だ財貨又は役務の費消が確定しておらず(未費消),支払又は支払義務の確定がなされていなくても(未支出),適正な期間損益計算の見地から費用又は損失を見越し計上する場合に,借方に計上される費用又は損失に見合って借方に計上される項目」である。
(7) 現在,被告は,次のとおり引当金を設定しており,引当金設定に要する金額を損金計上している。これにより,租税上の効果(事実上の減税効果)を得ている。
(8) 被告は,平成20年4月1日〜平成21年3月31日の事業年度において,「利息返還損失引当金繰入額」として,次のとおり計上している。
連結決算ベース       金583億1500万円
被告単独決算ベース 金398億7700万円
被告は,このように多額の利息返還損失引当金繰入額を,その他の営業費用として計上している(甲8号証,71頁,112頁)。
しかも,同事業年度の有価証券報告書の連結決算の部において,被告は,「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」「4.会計処理基準に関する事項」「(3) 重要な引当金の計上」において次のとおり述べている。
前連結会計年度の行
ニ 利息返還損失引当金
将来の利息返還金の発生に備えるため,過去の返還実績を踏まえ,かつ,最近の返還状況を考慮する等により,返還見込額を合理的に見積もり計上しております。
当連結会計年度の行
ニ 利息返還損失引当金
同左
(甲8号証,80頁)。
加えて,同事業年度の有価証券報告書の被告単独決算の部において,被告は,「重要な会計方針」「6.引当金の計上基準」において次のとおり述べている。
前事業年度の行
(4) 利息返還損失引当金
将来の利息返還金の発生に備えるため,過去の返還実績を踏まえ,かつ,最近の返還状況を考慮する等により,返還見込額を合理的に見積もり計上しております。
当事業年度の行
(4) 利息返還損失引当金
同左
(甲8号証,120頁)。
従って,被告は,自ら利息返還損失引当金を「将来の利息返還金の発生に備えるため,過去の返還実績を踏まえ,かつ,最近の返還状況を考慮する等により,返還見込額を合理的に見積もり計上して」いることを認めているのであるから,被告の主張に理由がないことは明らかである。
また,前述のとおり「利息返還損失引当繰入金」を計上しており,これにより,税効果を得ている。
仮に,本件における被告の主張が正当なのであれば,有価証券報告書には,虚偽の内容を記載したことを意味する。
それにもかかわらず,この租税上の効果について,被告は,何ら触れていない。被告の主張は,税効果会計に関し,独自の見解を述べるに過ぎず,理由がない。
なお,被告は,過去において,適正な引当金を設定しなかったというのであれば,それは,被告経営者の見越しの誤りに起因するものであって,過払金被害者である原告が被告経営者の見越しの誤りの責任を負うものではない。
(9) 加えて,被告は,各事業年度の所得に対しておよそ40%程度の法人税有効税率を乗じて算出されていることを公知の事実としているが,かかる事実は公知の事実とは言い難く,この点,強く争う。被告は,受領した利息制限法超過利息を益金として計上したことにより,実際に,どれだけの法人税等が賦課されたのかを主張・立証する必要があるにもかかわらず,これを怠っている。
(10) 従って,被告は,この点を具体的に主張・立証されたい。仮に,被告がこの点を具体的に主張・立証しないのであれば,かかる主張は,失敗したものとして扱われるものである。

コメント 結局,アイフルは,前回の当方の準備書面の内容を崩せないでいる。アイフルの準備書面を書いている者は,せめて自らの有価証券報告書に眼を通してから主張をしてほしいものである。
税金の極狭い部分だけをとりあげたの数字のお遊びに付き合わされるのは,馬鹿らしいことである。会計学の基礎ぐらい学ぶべきでしょう。
第3 「第3.仮に悪意の受益者であったとしても,法定利息を付すべき時期は取引終了時の翌日であることについて」
1 原告の認否及び主張
(1) 否認及び争う。
(2) 原告は,この部分についての主張について,既に,原告第1準備書面で行ったところである。
それにもかかわらず,被告は,答弁書での主張とほぼ同内容の主張を繰り返すのみであり,何ら,原告の主張の反論となっていない。
参考までに,原告が原告第1準備書面で行った主張を繰り返す。
(3) 悪意の受益者に関する先例となる判例は,最高裁判所第三小法廷平成19年7月17日判決(事件番号 平成18年(受)第1666号)(甲6号証)である。
この判決によると,貸金業者が利息制限法の制限超過利息を受領したが,その受領につき貸金業法43条1項の適用が認められないときは,当該貸金業者は,同項の適用があるとの認識を有しており,かつ,そのような認識を有するに至ったことがやむを得ないといえる特段の事情がある場合でない限り,法律上の原因がないことを知りながら過払金を取得した者,すなわち民法704条「悪意の受益者」であると推定されるものとしている。
(4) 本件においても,被告は,各弁済の弁済金のうち,制限超過部分を認める計算書を提出しているのであるから,各弁済金を受領した時点において貸金業法43条1項の適用があるとの認識を有していたとの推定を受ける。
(5) 被告は,この推定を破るだけの反証を行っていない。
(6) 従って,被告は,民法704条にいう「悪意」の受益者に該当する。
(7) さらに,平成21年9月4日に,最高裁判所第二小法廷判決があったので,引用する(甲7号証)。
(8)「金銭消費貸借の借主が利息制限法1条1項所定の制限を超えて利息の支払を継続し,その制限超過部分を元本に充当すると過払金が発生した場合において,貸主が悪意の受益者であるときには,貸主は,民法704条前段の規定に基づき,過払金発生の時から同条前段所定の利息を支払わなければならない(大審院昭和2年(オ)第195号同年12月26日判決・法律新聞2806号15頁参照)。このことは,金銭消費貸借が,貸主と借主との間で継続的に金銭の借入とその弁済が繰り返される旨の基本契約に基づくものであって,当該基本契約が過払金が発生した当時他の借入金債務が存在しなければ過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含むものであった場合でも,異なるところはないと解するのが相当である。」
(9) 従って,いわゆる過払金充当合意を含む基本契約に基づく金銭消費貸借の借主が利息制限法所定の制限を超える利息の支払を継続したことにより過払金が発生した場合でも,民法704条前段所定の利息は過払金発生時から発生することは明らかである。
(10) よって,本件においても,民法704条前段所定の利息は過払金発生時から発生することは明らかである。

コメント アイフルは,平成21年9月4日の最高裁判例を無視している。おそらく,この判例を無視しなければ,準備書面を書くことができなかったのだろう。




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